マイ・フェイバリット・タダタケ vol.2

信長貴富先生の「じゆびれえしよん」を演奏することになり、最近は山村暮鳥について勉強をする日々。そういえば、多田武彦先生は暮鳥のテキストで「山村暮鳥の詩から」「遠いふるさと」という2組曲を発表している。近いうちにこれらも詳しく調べてみたいところ。

さて、本日はタダタケ作品の中でもソロが際立つ名曲を3曲ばかり。

 

1. アカシヤの径

詩:鈴木薫

グリークラブアルバムCLASSICに収録されたポピュラーソング。尚、鈴木薫とは作詞をする際の多田武彦ペンネームである。

君と歩いた アカシヤの径を
僕は一人で 歩いてゆく
君と捜した しあわせの星は
夜霧の中に 消えてしまいそうだ
秋の雨に 濡れながら
溢れる涙に 濡れながら
君と歩いた アカシヤの径を
僕は一人で 歩いてゆく
秋の雨に 濡れながら
溢れる涙に 濡れながら
君と歩いた すずかけの径を
僕は一人で 歩いてゆく
君と捜した しあわせの花は
雨に打たれて 散ってしまいそうだ

小林研一郎氏ソロ「アカシヤの径」 - YouTube

アカシヤの径~AZsingersと漢たち - YouTube

 

2. 夏になれば

男声合唱組曲「吹雪の街を」(伊藤整

聴いているとほっこりとした気持ちになる、青年の純粋な心情が描かれた作品。伊藤整の詩は暗めのイメージが大きかったのだが、本作のような明るい詩も個人的にはとても好き。3拍子でなめらかに進んでいく温かい旋律が特徴的。

夏になれば みな浴衣で涼み 
川すぢの祭には 華やかな灯がつく

あそこの家にゐて
何か寂しいときも 夜ねいる布団の襟にも
お使にあの坂道を下るときも
あなた自らさへ気づかずにつくる
あの笑顔の幸福さをなくしないやうに。

いつも鳩のやうに胸ふくらませて、
たまさか街で逢へば
何となく笑ましげに挨拶する、あの素直な美しさを
生涯失はないやうに。

私はそれのみのために、
嫁ぐ日になつても
母となつてまでもの
あなたを 心から祝福しよう。

街では誰もありがちな事だが
この世を私もしんじるために
あなたの笑顔にだけは不幸がうつらないやうに。

夏になれば(多田武彦) Men's vocal ensemble A Cahel - YouTube

 

3. 爽やかな別れの日に

男声合唱組曲「わが心の詩」(山本伸一

山本伸一とは創価学会名誉会長の池田大作氏のペンネーム。難易度が高い上に未出版のため、あまり演奏される機会は多くないようだが、詩も曲も本当に美しく、歌ってみたい作品の一つである。

高原に風は颯々(さつさつ)と吹き
爽やかな別れのいま
芒(すすき)の波は白くくだけ
過ぎにし夏の日からのその日々
忘れへぬ想いをゆする

たまゆらの人生の一瞬
杉木立の影に
瀬戸の海のほとりに
移りゆく汽車の窓に
相見ての友はいた

ひとたび開いた胸と胸
その胸と胸との奥の奥
きらめきわたった秋空の
あの透明な純粋を
わたしはこの世の無上のものとしよう

爽やかな別れの日から
よしや相見ることの叶わなくとも
わたしはよもや忘れない
呼び合う心と心の実在を
刹那の永遠にかけて信じよう

爽やかな別れの夜
友と友との盃に
かたみに影を宿しつつ
月は肝膽(かんたん)をてらし
いま高原に 秋風わたる

爽やかな別れの日に 多田武彦 関学グリー - YouTube