吹コン都大会鑑賞記(2)

第58回東京都吹奏楽コンクール(都大会)2日目。

本日は大学の部から高等学校の部まで聴かせて頂きました。前日の職場・一般の部と中学校の部に増して素敵な演奏だらけでした。感想を書いていこうと思います。

 

【大学の部】

1.専修大学(銀)

普通に上手いなという演奏。特に課題曲Ⅴはよく整理されておりとても好印象でした。強いて言うならば、発音やピッチで時々乱れることが気になるのと、強奏・弱奏どちらも「あと一歩何かが足りないなぁ」という演奏でした。

 

2.明星大学(銀)

無難で安定していました。裏を返せば、面白みの少ない演奏でした。特に自由曲はもう少し攻めてほしかったなと思います。休符で緊張感が途切れがちだったのも惜しかったなと。今後に期待のバンドです。

 

3.中央大学(銅)

指揮者の音楽を表現しようと一生懸命に演奏している姿には好感が持てましたが、何をしたいのかは分からない演奏でした。もう少しアゴーギクを意識して長生作品らしく仕上げてほしかったという願望もあります。ただ銅賞というほど悪くはなかったかと。

 

4.明治学院大学(銅)

課題曲Ⅲは色々と惜しい演奏でした。発音が安定すると良いですね…自由曲もなかなか難しい選曲でしたが、終始音を並べるので手一杯な印象は否めず、もう少しいろいろやってほしかったなと思う演奏でした。

 

5.創価大学(金代)

課題曲Ⅲは、だいぶ好き勝手やっていましたが、個人的には本大会ナンバーワンのワルツでした。音楽の推進力が一度も失われなかったのはお見事でした。自由曲の自作自演もなかなか熱い作品でした。強奏がやや物足りなかったので代表は厳しいかと思いましたが。このような団体の全国出場は素直に嬉しいです。

 

6.立正大学(金)

課題曲Ⅲはしっかりとまとめてきていましたが、創価大のせいで印象は薄かったかな。くじ運の問題でしょう。自由曲はどこか惜しい演奏でした。全体的な完成度は決して悪くなかったのですが…インパクトが足りなかった印象です。

 

7.東海大学(金代)

他団体とは明らかにレベルの違う課題曲Ⅴ、そして安定感のある長生淳作品。とにかく圧倒されました。既に全国でも上位を狙えるだろうなという演奏でした。

 

8.駒澤大学(銀)

少人数で、選曲も流行りの曲ではなく自分たちのカラーを出していて非常に好感を持った演奏でした。全体的にすっきりとまとまった演奏でした。

 

★総評

・想像以上にレベルの高い演奏ばかりでした。選曲についてもいわゆる”人気曲”以外を攻めている団体も多く、一番聴いていて楽しい部門でした。

 

【高等学校の部】

1.東海大学付属高輪台高等学校(金代)

まさに熱演でした。高校生の頃にずっと憧れていた高輪台サウンドは健在でした。マーチは安定していますがややキズがあり惜しい演奏でした。自由曲は目の前に「響きの森」が見えてくるかのような素晴らしい作品であり、その魅力がしっかりと表現されていました。全国では更なる名演を期待しています。納得の代表。

 

2.八王子学園八王子高等学校(金代)

高輪台の後だったからかやや印象が薄れてしまったのですが、こちらも素晴らしい演奏でした。細かいミスは多かったものの、確かな基礎力に裏付けられた充実したサウンド感が良かったと思います。特に課題曲Ⅲは引き込まれる演奏でした。優雅な雰囲気が本当に良かったのですが、ワルツ特有の躍動感がもう少し出てくると良いかもしれません。自由曲はまだまだこれからです。ラストは原曲を尊重していて良かったです。

 

3.江戸川女子高等学校(銅)

課題曲Ⅳですが、指揮が叩きすぎることによってか、旋律がはねているような印象を受けました。リズム感も重要ですがフレーズ感を失わない演奏を期待したいです。自由曲の歌劇作品は美しいフレージングが好印象で、個人的には銅賞は厳しいなとも思いました。まぁサウンドという意味ではどこか曇った印象を受けたのも事実です。

 

4.都立小山台高等学校(銅)

課題曲Ⅲは演奏者の体の動きを使って美しい”アンサンブル”を繰り広げていましたが、基礎力の面で全体的に粗が目立っていました。自由曲の「サウンド・オブ・ミュージック」は挑戦的な選曲でしたが…もっと長生作品らしい揺らぎが欲しかった印象。と、そこそこ厳しいことを書きながらも、銅賞という結果からは見えてこない”熱量”を感じた演奏でもありました。高校の部の中では一番好みの演奏でした。

 

5.堀越高等学校(銀)

想像以上にしっかりと仕上がっていました。ただ、これといった印象が残る演奏ではなかったのも事実です。よくも悪くも「お利口な」演奏だったなと思います。もっと面白みのある曲なので曲想変化を更に研究してほしかったなと。

 

6.都立墨田川高等学校(銀)

課題曲Ⅲは悪くない演奏でした。余韻の使い方が上手だなという印象を受けました。自由曲は残念ながら何がやりたいのかよく分からない演奏でした。「吹奏楽のための協奏曲」は色々な団体の演奏を聴きましたが、下手なカットをつなぎ合わせると全体としての統一感に欠けて、何がしたいのか分からない演奏になりがちです。サウンド感はそこまで悪くなかっただけにもったいない印象でした。

 

7.明治大学付属明治高等学校(銀)

課題曲Ⅴについては吹いただけの印象が否めなかったのは残念でした。発音した瞬間の音程が歪むことが多かったのも惜しい。自由曲はシャブリエの「スペイン」というなかなか好みの選曲。丁寧に仕上げられており好印象でした。もう少し自由に演奏してもいいのではと思いましたが、曲想をよくとらえた快演だったと思います。

 

8.駒澤大学高等学校(金)

課題曲は駒澤らしい安定したマーチでした。好みの演奏。自由曲は「ワインダーク・シー」でしたが、テンポにかっちりとはめた丁寧な演奏が好印象でした。速く吹けばいいという文化には少々嫌気がさしていたので、個人的には今回のような演奏が主流になればと思う限りです。もう少しインパクトを作れると良かったかもしれません。

 

9.都立片倉高等学校(金)

ついに代表落ちという残念な結果に終わってしまいました。課題曲Ⅱに苦戦していた印象です。それでも本大会では全部門通して一番良い演奏でしたが。自由曲はぜひ全国で聴きたい演奏でした。シンフォニックな響きの美しい作品でしたがインパクトに欠けたのも事実で、くじ運が悪かったなという印象です。片倉高の演奏は上位大会ほど良くなっていくことが多いので今年もそれを期待していたのですが…何はともあれ、来年以降の復活に期待するばかりです。

 

10.東海大学菅生高等学校(金代)

課題曲Ⅴは高校の部の中では最も良い演奏だったと思います。サウンド感も抜群でした。後半の8分の5?からの音楽が好みでした。対して、自由曲「吹奏楽のための協奏曲」は目立つミスも多く、菅生らしからぬ演奏だったなという印象です。冒頭と最後のファンファーレはさすがの完成度でしたが、それ以外の部分でかなり事故が起きていたのでヒヤッとさせられました。全国では洗練された演奏になることを願うばかりです。カットの仕方が不自然なので直した方がいいとも思いましたが…(「協奏曲」に関してはよくわからないカットが横行しすぎなので、作曲者公認のカットとか作ったらいいのになぁと…)

 

11.関東第一高等学校(銀)

課題曲Ⅱはフレッシュな演奏でした。よくも悪くも”普通”の演奏でした。テンポ感の安定性がもう少し欲しい所です。自由曲の「ラフ2」は第3・4楽章の抜粋。まずはこの選曲に対して敬意を表したいと思いました。クラリネットのソロは一生懸命な演奏でした。4楽章最後のテンポはやや遅かったかなと思いますが総じて美しい演奏でした。原曲の管弦楽版と比べて物足りなさは感じましたが、吹奏楽でもこの曲の良さを感じることはできますし、このようなクラシック作品がもっと演奏されてもいいのに…と感じるばかりです。

 

12.岩倉高等学校(金)

課題曲Ⅴはやりたいことがはっきりと見える演奏でしたが、菅生に比べるとやはり見劣りしたのも事実です。後半のお祭りの雰囲気はとても素敵でした。自由曲はヴェルディの「レクイエム」でしたが、音楽的にもサウンド的にも洗練されており、とても良い演奏だったと思います。クライマックスが不明瞭で最後のインパクトが足りなかった印象でした。今後に期待です。

 

★総評

・音楽の完成度よりもサウンド感を重視した結果だなという印象です。音楽の説得力を高めるために「サウンド」を強化することは大切ですが、”良いサウンドに聴こえる”選曲ばかりになっているのはつまらないところです。

 

偉そうに書かせて頂きました。部活問題を追っている身として、今回のコンクールを通して感じたことが沢山ありましたが。それはまた後日ゆっくりと。

 

★さいごに

このままのコンクールでいいのでしょうか?

音楽の”勝利至上主義”(市場原理)は必ずしもいい方向に向かっているとは言い切れないのではないかと。そう言わざるを得ないなと。僕はそう思います。

ただ、一生懸命にやっている高校生の気持ちを踏みにじるような部活改革はダメだとも改めて痛感しました。

これからは更に現場を見ながら勉強を重ねていきたいと思います。